MASAHIRORIN’s diary

夜麻傘(MASAHIRORIN)の跡地

HQS

「ダレ・・・?」 音洩れすら起こしそうに無い頑丈な金属扉だが、それにも関わらず、扉の向こう側から声がした。 明はその声に振り返り、数秒の間、様子を見た。 そうして舞い降りた沈黙は、それほど間も無く、再び発せられた扉からの声に破られた。 「ダレ…

〜16.自分は頭の良い馬鹿だ〜 馬鹿は高い所がすきという。 幼稚園児のころに、良く記の上に登って叫んでいたので、自分は馬鹿なのだろうな、と明は自己完結型思考を展開していた。 階段を上って3階に出ると、2階に比べて様相が豪華になった。 廊下が伸…

〜15.御老体センチメンタル2〜 「僕が見たいのは、じいちゃんに取って意味のある事さ。」 そう言うと、二人は沈黙した。 老人は、少しだけ視線を上に向けて手で顎をさすり、考える素振りをした。 何かを言うだろうと思い、明は老人の言葉をじっと待った…

8−町と門番

「なかなか立派ね〜。」 と、建物まではまだ距離があるが、白がきれいで大きく作られてあるのが見て取れた。 綺麗に研磨された石造りで、石同士の継ぎ目が見えないように何か塗りこめたのだろう、真っ平らになっていて光沢を放っていた。少し神々しく見える…

7−町と門番

何時までもその場でブラブラしているわけにも行かない。 二人はとにかく道に沿って、白い建物を目指して歩き出した。

6−明とルナの道化

夢によく見る落ちる夢。 いつか必ず、そう遠く無い内に地面が目の前に来たる。 そして来たる5秒前・・・。 4・・・ 3・・・・・ 2・・・・・・・・・ 1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5−危ない変化の始まり

目の前一面に広がる水色は、一点から輝々として照らされ、少し混ざった白との美しいコラボレーションを作り出している。 紙と絵の具があれば描きたい、カメラがあれば納めたいと思った明だが、現実を思い出して溜息を吐いた。 今、凄まじい風圧を受けて落ち…

4−変化と言えるのだろうか?

「まあ、その事は後回しにしましょう。今は彼の質問に答えないとね。」 上手く誤魔化されたと思ったのだろう。ルナはしつこく言及しようとしたが、ネイミーに全く相手にされず、その様子を見て案外気にしている事なのかと明は見た。 ルナも間もなく諦め、ネ…

4−変化と言えるのだろうか?

自分の経験上、寝ること以外で意識を無くす事は初めてだ。 まだ8歳なのに意識を無くす事態を経験していては、それはそれで危険な異常ではあるが。

3−日々が一転する日

特に何も無いと言ったら、本当に何も無いと感じる。 日々変わりなく過ごしていく中で変わったことが無いのなら、その通り。 果たして、何が変わった事なのか、と考えると、家を引越したり夜逃げしたり、家族が死んだり、等が思い浮かんだ。 しかしそのどれも…

2−創世

様々な「思う」により二つの"自分達"は、「世界」という概念を成した。 それは空間を作り、物質を作れば、自ずと出来上がる概念。 自分達はその事に大いに満足した。