MASAHIRORIN’s diary

夜麻傘(MASAHIRORIN)の跡地

7−町と門番

 何時までもその場でブラブラしているわけにも行かない。
二人はとにかく道に沿って、白い建物を目指して歩き出した。


テクテクと雰囲気はのんびりだが、ザッザッという足音のリアリティとのギャップに違和感を覚えながら、また新しく見つけた疑問を、明はルナにぶつけた。
「どうして羽があるんだ?」
今までの聞き方を振り返ってみると、今回が一番ストレートだったかもしれない。困り顔になりながら、ルナは口を開いた。
「本当なら、君が一番知ってる筈よ。いつか解るだろうから、その答えはそれまで待って。」
 お茶を濁す。
先ほどの元気さから見たら、もっとハッキリした性格であけっぴろげな性格だと思ったのだが、改めて見直す必要がありそうだと明は思った。
しかし、今までをあけっぴろげと考えていた明には、どうやら人を見る目が全くもって無いようだった。
「そうか・・・。・・・・・・異世界とか君達の事を聞いたら、またそんな答えになるのか?」
「そうね・・・。納得してもらえる?」
 解らないから質問しているのに、知っている筈、と言われてしまってはどうにもならない。これでは、納得というより諦めという言葉の方が適切だった。
「本当の所を言うと、私はあまりそこのところの事情を知らないの。羽の事は私の事だけど、私が自分でつけたわけじゃないから。」
ネイミーなら全部解っているわ、と付け加える。
それなら解ったと、明は肯いていたが、肝心の事を明は聞いていない。
それこそ、今まで出来事の根源となり、自分がいる"世界"が広がるか、狭まるか・・・。少なくとも、今までの問いよりも最も重要である事は確かなので、一番優先して問うべきである。


自分は何者だ?と・・・


なのに問わないのは、一番面倒そうだな、という明のめんどくさがりな自衛本能が働いていたからだった。
 やがて、白い建物の正体がハッキリ見えてくる。