MASAHIRORIN’s diary

夜麻傘(MASAHIRORIN)の跡地

2−創世

 様々な「思う」により二つの"自分達"は、「世界」という概念を成した。
それは空間を作り、物質を作れば、自ずと出来上がる概念。
自分達はその事に大いに満足した。


 しかしどういうことか、物質達は自分勝手にその役割を作り出し、"自分達"の意思とは無関係に世界を少しずつ変え始めるではないか。
この事に驚いた"自分達"だが、これはこれで面白いと思い観察し始めたのである。



 その中で最も世界に影響を与えた物質は、動く物。
動物であった。
彼らは、空間の中を動き回れる身体を持ち、他の物質をその身体に取り入れ、目を閉じて動かなくなったと思えばまた動き回る。そんな繰り返しの中に少しだけ垣間見える意思もあった。
生きる、という行為であった。
彼らは"自分達"と同じように意思を持って行動しているのだ、と、感動した。
同時に羨ましくも思った。
"自分達"も彼らのように、空間の中で意思を持って生きたい、と…。



 長い観察の間で、"自分達"は最も目立った事をする動物を見た。
それは二本の足で立ち、他の物質を使って利便性のあるものに変化させ使い、また時には、"自分達"以外で初めて物質を作った。
"自分達"はそれになりたい、と、「思った」。



 それは、"自分達"の、長い長い、彼ら自身も思わなかった、生きる事の始まりだった。