MASAHIRORIN’s diary

夜麻傘(MASAHIRORIN)の跡地

 「見学、と言われたのは良いけど・・・。」
 明は腰に手を当ててため息を吐き、ホールを見回した。


 奥行きは80メートル程あるようで、幅は、明が両手を広げて20人以上は並べそうだ。ルナであれば15人より少し多い程度だろう。其のホールの左右に2本ずつ、極太の柱が立って天井を支えている。
 柱にそって目線を上に持って行くと、絵画が描かれた天井が見える。天井の真ん中には丸い天窓が見えており、そこから屋内を照らしていた。其の周りを様々な模様で彩られている。
 宗教絵画だろうか?幼稚園で似たようなの見たことあるな、と明はキリスト系の幼稚園時代を思い出していたが、やっぱりどうでも良いと感じていたのだった。
 視線を上から正面に戻してもう一度見回した。
 突き当たりの壁には、先ほどヘレンが入っていた扉が見えており、そこを囲むように、左右から階段が弧を描いている。2階に通じる階段のようだ。
 その階段の手前、左右の壁に一つずつ扉が見えていて、幾人かがそこから出入りしているのが見受けられる。その扉の先に、一般人が使う様な施設があるらしかった。
 「じゃ、ここで突っ立っててもしょうがないし、適当に歩き回ってみましょ。」
 と、ルナが言ってどこぞへと歩き出した。
 仕方ない、と明はその後を着いて行く。ルナと一緒にいないと、ヘレンに呼ばれる時に何かと不都合があると考えたかららしいが、その実、かなり不安を感じていたのだった。