MASAHIRORIN’s diary

夜麻傘(MASAHIRORIN)の跡地

 この状況を説明してくれるらしい。
今に至る原因、過程が全く分からない明にとって、それは有難い事だった。
だが同時に、聞き捨てなら無い事も言われた。


明が、何者か?


そんな事は説明するまでも無い。
あの町で神無明として生まれ、祖父と両親と伯父貴と兄姉、最近弟も生まれて一層賑やかになった家族がいて、幼稚園、小学校と地元で通している。
友達数人、いじめっ子一人、以前まで好きな子がいて、今は疎遠。勉強はまずまずというよりクラスでは良い方、運動神経もそこそこ、足はそんなに速く無い。しかし顔は微妙で身長も低くて130cmになったばかり。体重も28kg。負けず嫌い注射嫌etcetc・・・。


何もわざわざ説明される必要は無い。
赤ん坊の覚えていない頃の事ならわかる。かなり不要な説明だが・・・。
少なくとも、これまでの自分について分からない事はほとんど無かった。
一体何を説明するんだ?と、明は疑問に思う。



「まずは私達の自己紹介からね。私の名前はネイミー。見れば分かると思うけど、普通の人では無いわね。」



 いともアッサリと、自分で人である事を否定している。
何が問題か、というわけでは無い。言葉は通じるし、意志の疎通が出来る。
人の脳内を読む事は普通では無いが、至って障害は無い。
そこを何とも無いと思ってしまうところが流石は明。
常識が無いにも程がある。
「で、人じゃ無いなら何なんだ?」
アッサリ聞くのも程がある。
「さぁ、何なのかしら?私にも分からないわ。」
態度のデカさに苦笑しながら、ネイミーはしゃぁしゃぁと答えた。
自分で自分の事を分からない、というのは釈然としない。
気にはなるが、当人がそう言っているならばそういうことなのだろう、と、嘘を吐かれている考えは省いて、無理矢理納得することにした。
本当に小学生かと、明も自分で分からなくなったので強ち有り得ないわけでは無いだろう。



「それから・・・。」
 ネイミーは明の後ろに視線を移す。
「あなたにフライングボディプレスを直撃させたのが、ルナよ。」
 言いながらネイミーは笑った。
 笑い事では無いというに・・・。
 そしてルナもまた、その表情は明るい。
「その原因を作ったのはネイミーでしょ。良い加減に高い所に出口作るのやめてよ。」
 明を潰した事を全くもって悪びれた様子は無い。
 そういえば、意識を失う前にそれらしき事を言っていた気がするのだが、ということは、潰れた原因はこのネイミーにあるのでは無いだろうか?
 そんな事を考えていても、すぐに頭から霧散してしまう事なので、自分の中では案外どうでも良い事なのだろうと明は思った。